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南充浩note : レナウン破綻、連鎖倒産は起きないが都市型アパレルの“連続倒産”は不可避

かねて業績が低迷していたレナウンがついに民事再生法の適用を申請しました。正確に言うと、子会社から民事再生手続きを申請されました。メディアでは「レナウン倒産」と報じられていますが、正確にはまだ倒産ではありません。民事再生手続きを申請すると、新たなスポンサー探しが始まります。スポンサーが見つかって資金が注入されれば会社は存続されますが、もしスポンサーが見つからないと破産整理されてレナウンという会社はなくなってしまいます。民事再生というのはそういう手続きです。

コロナ危機なくとも早晩行き詰まり

アパレル各社の中で創業がもっとも古く、かつては業界ナンバーワンの売上高があったことから「名門企業」と評されるレナウンでしたが、バブル崩壊以降、業績が低迷し続けていました。多くの識者が指摘されているように、今回はコロナショックが後押しした形となりましたが、コロナショックは直接の原因ではありません。すでにレナウンの経営状態は長期間悪化したまま回復していなかったのです。
厳しくいえば、コロナショックがなくとも近い将来、経営は破綻していたと思われます。

レナウンはすでに昨年末に深刻な経営危機に足を踏み入れていました。新型コロナの流行前のことです。
すでに多くで報道されていますが、2010年に親会社となった中国企業、山東如意科技集団への売掛金が回収できなかったからです。その未回収金は53億円でした。赤字続きのレナウンでしたが、この巨額未回収金によって相当厳しい状況に追い込まれたといえます。
そしてその直後から新型コロナの感染拡大が世界で広がったことは、まだ記憶に新しいことでしょう。国内では3月からの営業短縮、4月・5月の百貨店、大型商業施設の完全休業によってレナウンはとどめを刺された形となりました。

2010年に日の出の勢いだった中国企業、山東如意科技集団でしたが、中国の経済成長に歩調を合わせるように次々と海外の有名アパレル企業やブランドを買収していきました。我が国のレナウンもその一つでした。しかし、ダボハゼ的に買収し続けた結果、山東如意の資金繰りは極端に悪化してしまったのです。
我が国のライザップがダボハゼ的に企業買収を行った結果、経営が傾いたのと似ています。まさに「ご利用は計画的に」です。

それはさておき。中国企業に買収されたレナウンでしたが、中国市場ではまったく拡販できませんでした。合わせて国内でも売れ行きが好転することはありませんでした。中国市場で拡販できなかったのは、中国市場に精通しているアパレル業界人に言わせると「中国市場の開拓は難しい。欧米の著名ブランドでも撤退しているし、表向き上手く行っていると報じられていても、内情は全く違うというブランドも珍しくない」とのことである上に、親会社の山東如意がもともと繊維製造業出身で、ブランディングや小売流通に全くノウハウがなかったことが挙げられます。
我が国でも帝人という合繊メーカーが、子会社の帝人アソシアでアパレル小売を長年やっていながらなかなか上手く行かないのと同じです。製造業は小売ビジネスに弱く、逆もまたしかりで、小売業が製造業をやり始めてもなかなか上手く行きません。餅は餅屋なのです。

国内市場に目を向ければ、山東如意に買収される際、いい意味で押し売りの強かったレリアンがレナウンから切り離されてしまいましたし、それ以前に、ファッション好きな人たちに人気のあるブランドを多数抱えていたレナウンルックも独立してしまいました。買収時に残っていたのは、シニア・シルバー向けブランドばかりでした。恐らく現在のメイン顧客は70代・80代です。シニア・シルバー向けブランドだけでは、再浮上できるほどの爆発的な売れ行きなど期待できません。
若者よりも金持ちが多く、人口そのものも多い70代・80代ですが、アパレル業界においてこれまでシニア向け・シルバー向けで成功したブランドは存在しません。しかもレナウンほどの企業規模を支えるほどの売上高は獲得できません。

都市型中堅アパレルは淘汰が待っている

レナウンの経営破綻によって、アパレルの連鎖倒産を心配する声がありますが、個人的にいうと「アパレルの」連鎖倒産はほとんどないと考えています。なぜなら、自社ブランドを展開しているようなアパレルであるなら、レナウンへ大量に卸売りしていないと連鎖倒産は考えられません。レナウンはオリジナルブランドを展開しているので、そこに他社ブランドを大量に仕入れることはまずありません(少量ならあり得る)。
連鎖倒産が考えられるとするなら、レナウンのブランドを大量にOEM生産していた場合だけでしょう。そして著名なアパレルがレナウンのブランドを大量にOEM生産していたということはあまり聞いたことがありません。

レナウンの経営破綻によって連鎖倒産する可能性が高いのは、レナウンの商品の製造を手掛けていた縫製工場や生地を納入していた生地屋、中間に立って生産をハンドリングしていた商社やOEM業者、それらの下請けをしていた工場でしょう。

レナウンの債権者リストを見ると、債権額上位にはスタイレム、日鉄物産、丸紅ファッションリンクなどの企業が名を連ねていますが、債権額は2億円台~2億円弱であるので、これらの大手企業ならこの程度の損害なら吸収でき、連鎖倒産することはまずないと考えられます。
それよりも連鎖倒産の可能性があるのは、この債権者リストに名を連ねている「○○毛織」とか「〇〇ニット」とかの製造系会社でしょう。債権額は数千万円~数百万円と小さいものの、もともと工場は売り上げ規模が小さく、企業体力もありません。さらに近年の低価格化によって収益が悪化している場合が多いので、百万円単位の引っ掛かりで倒産しても不思議ではありません。

一方、レナウンとは関係なく、新型コロナによってこれまで経営が傾いていたアパレルは今後ドンドンと連続して経営破綻に追い込まれることになるでしょう。すでにメルベイユアッシュ、ハヴァナイストリップなどのアパレルが破産しています。
これらに共通するのは、
 1、 すでにコロナ前から経営が悪化していた
 2、 都心百貨店や大型商業施設に集中的に出店していた
 3、 ロードサイド路面店や地方路面店の出店が少なかった

という3点になります。現在のレナウンもこの3点に当てはまります。今回の新型コロナショックで休業に追い込まれたのは、百貨店、都心商業施設、郊外ショッピングモールだったからです。ロードサイド路面店や地方路面店はその限りではありませんでした。ロードサイド路面店や地方路面店がほとんどであるワークマンが増収し、しまむらの売上高減少が比較的小さく済んだのはそのためです。

緊急事態宣言は解除され、百貨店や商業施設の営業が再開されますが、上記3点の特徴があるアパレルは今後倒産が始まると考えられます。業界内の噂では100億円台の売上高のあるSPA型アパレルが10月に会社清算を決めたと言われています。このアパレルも店舗が大型商業施設に集中しているため、コロナ期間中はほぼ全店休業していましたし、昨年くらいから店頭売上高も悪化していました。

今後、このようなアパレル企業はもっと増えることでしょう。
こうしてアパレル業界は大幅に淘汰され、再編が加速することになると考えられます。(みなみ・みつひろ=フリージャーナリスト)

著者プロフィール
1970年生まれ。繊維業界紙記者としてジーンズ業界のほか紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 退職後は量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。公式ブログはこちら


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