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SDGs対応でも欧州企業は商魂むき出し…日本の繊維産業に巻き返し期待

「SDGs(持続可能な開発目標)」と聞いて皆さんが想起する事は何だろうか。冒頭写真のような、自分たちの子供や孫の世代のために地球環境を保全するというスローガンのイメージが強いのではないだろうか。かく言う筆者もその一人で、自由競争にさらされる営利企業がどの程度本気でSDGs対応に取り組むのか疑問に感じていた。しかし最近、その認識は180°覆された。欧州企業は「気候変動」で世界をリードしており、「将来の気候変動を抑制する」ためのビジネスを創出し、いち早く商売のタネにしているのだ。強か(したたか)な欧州勢と、やらされている日本勢。日本企業には繊維産業をはじめとして巻き返しと成長に期待したい。(南昇平)

「開発」に大きく舵を切る

筆者が宗旨替えに至ったきっかけは2つある。まずは2020年6月23日、大阪商工会議所で開かれた勉強会だ。専門紙『繊維ニュース』の宇治光洋記者が繊維とサステイナビリティについて講演したのだが、これが非常に勉強になった。

以下、その内容を紹介していきたい。

まず、新素材が普及するためには、社会的要請が必須だ。例えば、航空機に使用されている炭素繊維。炭素繊維そのものはボーイングが採用するずっと前から存在していた。
しかし、たび重なる原油価格の高騰が航空運賃の高騰に反映されると、エアラインは燃費が良い機材を求めるようになった。そこで軽くて頑丈な炭素繊維の技術開発が加速し、航空機に採用されるようになっていった。

宇治記者によれば、環境問題の質的な変化にも上記の事柄が大きく影響しているという。環境問題は1960年代の公害問題が始まりで、70年代には都市環境汚染が登場。80年代になるとオゾンホールが発見され、「地球環境問題」に変化した。

そして2015年に国連で150カ国超が参加して開かれたサミットで採択されたのがSDGsだった。蛇足だがSDGsは「持続可能な開発目標」のことで、17の目標と169のターゲットからなる。

宇治記者は「当採択によって、目指す方向が『開発』に変わった」と指摘した。つまり環境問題に配慮しつつ、あくまで経済成長を目指すことがはっきり示されたといえる。

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↑講演する繊維ニュース宇治記者(右奥)

CSRではなく資本政策としてのSDGs経営

SDGs採択と前後して登場してきたのが、「海洋プラスチック」問題と環境配慮型の繊維素材だ。SDGsのターゲットの1つにも「あらゆる種類の海洋汚染を防止する」が含まれている。

ただ、ここで需要が急拡大したのは「環境配慮型」といっても自然由来の繊維ではなく再生ポリエステルだった。宇治記者は「繊維業界においてポリエステルの存在が大きすぎ、ポリエステルありきになっている」と語る。

結局は“開発ファースト”“経済ファースト”だ、とみる筆者の考え方は意地悪すぎるだろうか。

その代わりかどうかは分からないが、ポリエステルの生産プロセスにおける環境負荷の低減やバイオ原料、オーガニックコットンなどトレーサビリティの認証ビジネスが勃興していったという。

2011年に結成されたサステイナブル・アパレル連合(SAC)の評価基準Higg INDEXを満たさなければ素材メーカーはグローバルブランドと取引すらできなくなっている。

こうなると、開発ファーストは善か悪かの問題ではない。宇治記者はこう指摘している。

・サステイナブル素材や環境配慮型生産プロセス・原料はグローバルアパレルのサプライチェーンに組み込まれている
・資本政策としてもSDGsへの取り組みは必要不可欠になる
・日本の繊維産業にとっても、こうした要請に応えることこそが成長のカギを握る

新型コロナウイルス危機を受け、抗菌・抗ウイルス加工に注目が集まっているが、多くの日系繊維メーカーは既に当加工で世界をリードしているとのこと。巻き返しに期待したい。

「脱炭素」でも欧州が強欲に動く

2015年といえば、パリ協定が締結された年だ。当協定は21世紀後半に温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量をバランスさせ、排出量実質ゼロを目指す長期目標を掲げている。

月刊誌『Wedge(ウェッジ)』の2020年4月号は「脱炭素バブル」を特集していた。

気候変動への関心の高まりとともに、巨額のマネーが「地球環境」に流れ込んでいる。ウェッジの記事が指摘しているのは、欧州が「脱炭素」社会に向けて主導権を握るため、官民挙げてルールづくりに邁進しているということだ。

脱炭素とは言っても、企業が利潤を上げて成長できなければ長続きしないという資本の原理は変えられないことを筆者は痛感した。しかも欧州が独走していたESG投資の分野には、ここにきてブラックロックなどの米国勢も参入し始めたのだ。

「在庫」からみたSDGsとは

アパレル産業は、バリューチェーンの長さと売れ残る商品の廃棄量の多さから二酸化炭素(CO2)排出量が非常に大きく、世界で2番目の“環境汚染産業”と呼ばれている。

実需を無視した構造的な供給過剰が常態化し、大半の企業がそれぞれシーズンごとに余分な在庫を積むのが原因になっている。

ザイコロジー・ニュースは「今ある在庫」で売上を増やした結果、在庫が減っていく在庫実行管理(IEM = Inventory Execution Management)という新たな手法を提唱したい。

IEMでは闇雲に在庫を増やさずに売上を増やすため、以下のように考え実行する。

・ 「今ある在庫」の中から、まだまだ売れる商品を見つける
・ 「今ある在庫」を使い、単価を上げる
・ 「今ある在庫」のうち、どの商品を補充すべきか見極める

※詳細は下記資料を参照

必要な商品が必要な量だけ流通する社会が、真のSDGsのゴールといえそうだ。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます
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228億点。1年間に世界中で廃棄される衣料品の数です。これは小売業の宿命的な課題である在庫問題が原因。余ると分かっていながら大量の余剰在庫を抱えざるを得ないのです。フルカイテン株式会社が運営するザイコロジー・ニュースは、在庫ビジネスに役立つ情報を発信し、問題提起をしていきます。

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